11 よいよい横町 野口 雨情
よいよい横町で見た月は 見た月は
半分かけてた朝の月 アノ朝の月
お空にぼんやり出た月は 出た月は
夢見て寝ぼけた晝の月 アノ晝の月
兎がお餅を搗く月は 搗く月は
十五夜お月で丸い月 アノ丸い月
耕作百言
同一の調で書かれた歌曲は単調の恨みを免れることが出来ない。
此の意味に於いて転調は、歌曲を単調と倦怠から救い出し平面的な
気持ちから陰影あるものへと導いて行くものだといふことも出来る。
然しながら、少し内面的に考へてみると転調とは、心の流れそのものが
知らずに移した歩みのあらはれである。それは強ひられたものであって
はならない。苦しんで作ったものであってはならない