そぼ降る長雨の晴るるも待たで

梢にしぼめる花のすがたや

  想えば果敢なしみじかき夜の

  むすべど跡無き夢路に似たり

秋の夕風の吹けば乱るる

小萩の葉末の露の命や

  想えば果敢なし霊とも見えし

  暫しの匂いの哀れ消えける

小川のほとりに小松ヶ丘に

共に祈りし昔恋しも

  奥津城寂しく眠ると見れど

  天津御国への門出なりけり

行くては小暗き死出の山路も

主はともにまして導き給わん