土筆つみ 三木露風 作詞
山田耕作童謡100曲集
つくし つくし つくしを つまう
つくしを見つけた 三本 四本
こっちにもあった あっちにもあるよ
大きな土筆 なぁがい つくし
つくし つくし つくしを つまう
毎年こゝには つくしが はえる
はや もうたくさん こんなに つんだ
もう帰ろうよ 春の日 永い
耕作百言
一人のヘ師がある、一曲の童謡を拉して来てこれを唄って見る。
そしてその歌詞に従って一種の振付をする。生徒は直ちにそれに
真似をさせられる。── 勿論教へる當人はそれを模倣させるのだ
とは思ってゐない。覺えさせるのだと信じてゐる。
かういふ教へ方は果たして藝術ヘ育であらうか。
もしこれを藝術ヘ育であると主張する人があるならば、その人は恐らく
Künst!erisch と云ふ言葉とKünst;erisch といふ文字とが全く同義であ
ると斷言するに違いない。
一曲一曲をその弟子に口授し、その奏法を模倣させて一曲一曲を習い
あげさしてゆく邦樂の師匠のヘへ方と、このヘへ方とにどれ程の差が見
出されるであらう?
藝術家をのみつくるのがヘ育の目的でなければ、まして技藝者を養ふの
がヘ育の本旨ではあるまい。
ヘ師は猿廻しとなってはならない。殊に生徒を猿あつかひすることは
絶對によくない。