雀の使ひ 野口雨情 作詞
雀の使ひが まいりました
雀の使ひが まいりました
どこから使ひか゛ まいりました
雀の宿から まいりました
雀の宿から まいりました
お土産屆けに まいりました
耕作百言
過渡期にある日本の音樂界が、最近著しい民謡の勃興と流行を
見せるに到ったことは、西洋音楽が次第に日本にアクリマタイズ
されつゝあるといふことを示し、同時に日本はやがて眞實の日本
の音樂を生み出す第一歩を踏み出しかけてゐるといふ事實を語って
ゐる。若し風土化の後に出て来るものが、それ以前の直入反射の
境地を一歩も出ないものだとすれば、日本には藝術がない、藝術
を生み出す力がないといふことになる。而も、かうした絶望的な
豫想、或は假想は、日本を愛し、日本の持つよき音樂的素質を認め
ている私の、到底抱き得るものでない。あはたゞしい黎時期及び
過渡期の暗を破り、旋風を突いて生まれ出た私は、尚早の故に戦は
ねばならなかった數へ盡せぬ難關や障碍を顧みながら、此の後に
降誕するであらう日本のスクリャービン、或はスクリャービン以上
の巨星の光を仰ぎ、その靴の紐を解かんと、獨り野に跪いて敬虔な
祈りを凝らしつつあるものである。