北原 白秋 作詞
にわとり爺さんおひとよし 妻子もよう無い親もない
にわとり爺さんお金ない 鶏一羽がただ
にわとり爺さん
にわとり爺さんさびしいで 鶏ふところ入れてゆく
にわとり爺さん草取れば 鶏ゃそこらを遊んでる
にわとり爺さん日が暮れりゃ 鶏ふところ入れて
にわとり爺さん住む家は ちょんぼりお菰のあばら屋根
にわとり爺さん眠れない 鶏かかへて雨もりに
にわとり爺さんどうなさる 鶏ゃ卵も生みゃせぬに
にわとり爺さん 鶏と 朝から晩まで眺めてる
耕筰百言
良き歌にふれ、良き歌を愛し、良き歌を心から
味はって唄ふことは、あなたがたの血をいつまで
も清きまゝにとゞめさせるでせう。
若し過って、たゞ技に走り、声を弄ぶやうな唄
ひ方をされるならば、せっかく美しいあなたがた
の血はにごり多きものになってはまふでせう。