流れ椅子 西条八十 作詞
渚なぎさの古椅子ふるいすこはれ椅子
誰だあれが 昔に かけたやら
月夜の渚は 風ばかり
ときどき 鷗がとまってる
耕作百言
在来の邦楽は、純なよい線の流れを持ってはゐ
るが、あまりに殉情的であった爲め、楽器や楽式
や楽想があまりに貧弱であった爲め、又音楽があ
まりに歌詞の中に溺れてゐた爲め、眞の藝術的な
力とか音楽其自身に於て独立した純音楽の世界と
かいふものを、殆ど缺いてゐる。