F. Schubert  作詞 作曲

騎するは 風の夜 児を連れし父そは

 腕に児をかたく い抱きしめぬくめつ

吾児あこ 何にはおののく』

『見ずや父 魔王を いかめしき魔王を』

『吾児 そは狭霧ぞ』

『愛児よ行かめや 行きてと遊ばむ

 花は皆開きぬ 母はきぬ作りて待てり』

『父よ 父よ聞かずや 魔王の囁きをば』

『吾児よ なおののきそ そは樹々の葉づれよ』

『愛児よ行かずや 我が娘 汝を待てり 

 娘宵ごと汝が為に 歌いつ舞つ守せむ

              歌いつ舞つ守せむ』

『父よ父よ 見よそこに魔王の娘立てり』

『吾児 吾児 汝が見しは黒く繁る柳ぞ』

『いとし児吾と来たれかし 汝がいとうも我きかじ』

『父よ父よ 護りてよ 魔王 我を捕らえぬ』

 父ふるひ ひたせぬ 悩める児い抱きつつ

    家には到りぬ そが児は既に 死せり