沓掛小唄 長谷川伸 作詞 奥山貞吉 作曲

意地の筋金 度胸のよさも

 人情からめば 涙癖

渡り鳥かよ 旅人ぐらし

 あれは 沓掛時次郎

 

背のびしたとて 見えぬを知りつ

 せずに居られず また背伸び

生まれ故郷は 遥かな空よ

 思う御方も 百里先

 

来るか時節が 時節は来ずに

 今朝も脱け毛が 数を増す

今度の浮世は 男でおいで

 女とにかく 苦労がち

 

月よもの云え 姿をうつせ

 ただ照るばかりじゃ 罪つくり

泣いた別れは 忘れもできよ

 なまじ泣かぬが 命とり

 

千両万両に 曲げない意地も

 人情からめば 弱くなる

浅間三筋の 煙の下で

 男 沓掛時次郎