光のお宮 三木露風 作詞
坂をのぼれば 青い空
山の上にも 青い空
青い 青い むかうには
光の お宮が
あるだらう
耕作百言
私の目指す藝術境とは、如何なるものを意味するのであらうか。
音樂が眞の藝術であるためには、形式のみの音樂であってはならない
それは又、無秩序な内容の雑然たる曝露や、皮相的な五官の刺戟や
享樂のためのものであってはならない、同時に、音樂が眞に音樂である
ためには、勿論、文學の奴隷であってはならない。單なる標題の説明や
描寫に止まってもならない。それは、音以外のなにものによっても表現
することの出来ぬ、音の思想の流れ出て来たものでなければならぬ。
而もそれが眞實の音樂である限り、流れ出る姿はおのづから端正純美な
容姿を整へてゐる筈である。そしてその音の言葉は、常套的な祈禱文
には記されてない、眞の魂の祈りであり、その音の展開する世界は、霊光
に輝きみつる清淨無垢な法悦境でなければならぬ。