新羅の法師義湘ぎしょう

                                      野々村修瀬 作詞  (初等唱歌六学年 1932年)

 都をいでて はるばると 幾山越えて アリナレの

   逆巻く波を押し渡り 岩根けわしき長白山

 道なき道をひらきつつ のりを求めて もろこし

  再びいでし一人旅 山河こえて新羅しんらぎ

   求めて止まぬ心より 遂に折り得しのりはな

   長安に入りしひじりあり 義湘法師と傳へけり

 

 幾歳月いくとしつきを只一人 或いは虎す山にい寝

   あるははてなき野にまよひ 猛獣毒蛇に追われつつ

 骨は削られ肉がれ 生きたる心地なけれども

 

 故郷人ふるさとびとおのが得し のりの悦び傳へんと

 百済くだらの國に新しき めぐみをべしそのおしへ

  傳へつたへて今に猶 金剛山こんごうざんに残るかな