63 冬 三木 露風 作詞
藪の築土を のぞいてみたら
草はかれがれ 石白く
赤い野薔薇の 實がのこる
鳥の懸巣を のぞいてみたら
その巣こわれて 芥がさがる
芥さがって 雨が降る
池の緋鯉を のぞいてみたら
緋鯉見えずに ちょんぼりと
蓮のあたまが 浮いてゐる
学校がへり 下駄きって
肩のからかさ くるくると
まはしてゆけば 雨がふる
耕作100言
神秘とは實在の實である、實在の心である。
その流れは緩かに、しかもどんな細い所にも流れ入る。
然し、その流れが緩いため、又あまり廣くあまり細い
ため我々の眼の中に入り、又外に溢れて、見逃してし
まふことが多いのだ。そしてそれが獲へ得ぬ故に
夢と思い幻と信じてしまふのだ。