想いあふれて花摘めば　白い指先　入日がにじむ

あざみなぜなぜ　棘持つ花か

　たとえ刺さりょと　ああ　誰か夢なき

森の梢に照る月も　くもれ男の　切ない涙

強く諦め　忘りょとすれば

　声がまた呼ぶ　　ああ　誰か夢なき

あわれ彼の君　いま在さば　なんで離りょう

　離されましょか

伊豆の紅ばら　湯船にちらし　

　すがる面影　　ああ　誰か夢なき

愛がまことの愛ならば　慕うこの花　あの花二つ

結ぶ都の　やさいと柳

　春よ輝け　ああ　誰か夢なき