シューベルト 作曲 近藤朔風 訳詞

泉に沿いて繁る菩提樹  慕い行きてはうまし夢みつ

       幹には彫りぬゆかし言葉  嬉し悲しに問いしその蔭

 

今日もよぎりぬ暗き小夜中 ま闇に立ちてまなことづれば

      枝はそよぎて語るごとし 『来よいとし友 ここに幸あり』

 

面をかすめて吹く風寒く  笠は飛べども捨てて急ぎぬ

 

遥かさかりて佇まえば 尚も聴こゆる『ここに幸あり』

      遥かさかりて佇まえば尚も聴こゆる

                     『ここに幸あり、ここに幸あり』