芳賀矢一 作詞 岡野貞一 作曲

 色香も深き紅梅の
  枝にむすびて
   勅なればいともかしこし
    鶯の問はば如何にと
          雲居まで
  聞え上げたる言の葉は
     幾代の春か香るらん


みすのうちより宮人の
  袖引止めて
   大江山いく野の道の
    遠ければ文見ずといひし
          言の葉は
  天の橋立末かけて
     後の世永く朽ちざらん

きさいの宮の仰言
  御聲のもとに
   古の奈良の都の
    八重櫻今日九重に
          にほひぬと
  つかうまつりし言の葉の
     花は千歳も散らざらん

 

参考

  紀内侍

   勅なれば いともかしこし

    鶯の宿をと問はば如何に答へん

 

 

  小式部内侍

   大江山いく野のみちの遠ければ

    まだふみも見ず天の橋立

 

  伊勢大輔

   古の奈良の都の八重桜

    今日九重に匂いぬるかな